外食クオリティサービス大賞 お問い合わせ
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総括
渋谷行秀
(株)日本エル・シー・エー
執行役員F事業本部長
渋谷行秀
 外食業界で働く喜び、誇り、そういった素晴らしさを従業員一人ひとりが感じ、日々の仕事の中でその充実感を感じられることが、外食産業を活性化していく近道ではないかという気付きを頂いた。


従業員感動満足なくして、顧客感動満足なし

 第一回に続き、第二回のファイナルプレゼンテーションが行われた3月11日も、東京代々木のオリンピックセンターは晴天に恵まれ、早春の日差しが射す暖かな日となりました。
 第二回では160社・200エントリー2600店舗となり、第一回大会の150エントリーから比べるとエントリー数は大きく増え、来場者数も1週間前には満員御礼の状態となり、申し込みを締め切らせて頂くほど好評を頂きました。エントリー・来場者数ともに第一回に比べ大きく増えたことによって業界内の注目も高まってきており、大変嬉しく感じております。


外食クオリティサービス大賞の設立意義
 市場が減少傾向にある中、生き残りを懸け、外食企業にとって顧客感動満足を追求し続けることの重要性が増大しています。クオリティサービスに取り組んでいる優良外食企業とその取り組みを広く業界に発信し、業界の活性化に貢献すべくクオリティサービス大賞を設立しました。
 ここでいうクオリティサービスとは単なる接客を意味するのではなく、「店舗力」「商品力」「人間力」の要素で表される広義のサービスを意味しており、それらを生み出すための経営システム・仕組み・マネジメント・教育システムなどの企業としての活動を焦点にしています。
 外食が産業化されて以来、さまざまな優良業態が生まれました。そして、それがベンチマーク(成功事例に学ぶ)され、優良な業態が次から次へと生まれ、そして進化していきました。業界全体で見れば、この「ベンチマーク」の速さが業界発展に貢献してきたと言えると思います。
 ところが時代が変わり、高いホスピタリティなど、今では「業態力」に加えて「人間力」が重視されてくる時代になってきています。しかし、高い「人間力」を生み出す仕組みについては企業間を超えたベンチマークはそう簡単には進まず、各企業が暗中模索を続けている状態です。
 そこで、顧客感動満足の高い優良企業の取り組みを「ベンチマーク」する場を作り、互いに学び、互いに業界を発展させていく機会を作ることが出来ればとの想いから外食クオリティサービス大賞を設立しようと考えました。
 第一回の発表も大変すばらしいものがありましたが、第二回の今回登壇された5社の発表はどれも秀逸で甲乙つけ難いものでありました。外食業界にとっても非常にインパクトの高いものであったと感じております。この場を借りてご発表頂いた5社の方々に御礼申し上げます。


MSR総合得点×顧客ロイヤリティ相関関係審査のポイント
 1次審査では、ミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)の点数から顧客感動満足の「高さ」「改善度」「安定度」の3つの視点で選出いたしました。表A・表Bから、1次審査を通過した11社は極めて顧客感動満足のレベルが高いことが伺えます。
1次審査結果MSRインデックス 第一回クオリティサービス大賞で1次審査を通過した企業のうち第二回も1次審査を通過した企業は1社のみでした。この要因としては、一つ目はMSRの導入企業が増え優良企業が増えていることが考えられます。2つ目は評価指標の25%が「改善度」であることがあげられると思います。すなわち評価期間である2007年5月〜12月の8ヶ月の間に顧客感動満足の改善が進んでいる企業でないと選出されないこととなります。「高さ」に加えて、この期間中にどれだけ顧客感動満足を高めることができたかも評価されるため、2年連続にエントリーされることが難しくなっています。
2次審査〜最終審査基準 改善度については、今回の1次審査のエントリー160社の平均の改善度は年間換算して4.4点(200点中)でした:表C。いずれも毎月MSRを導入している企業が対象であり、顧客満足の改善には非常に熱心に取り組んでいる企業が多く、激戦の中から今回の11社が選ばれました。
2次審査〜最終審査基準 2次審査は表Dのように1次審査のMSRの結果も含め、
 (1)理念やビジョンのミッションレベル
 (2)業態コンセプトなどの戦略レベル
 (3)現場の主体性・マネジメントなどの組織力を高める実行レベルの取り組みを評価します。
 対象11社の社員を対象にVOEサーベイ(※注)も実施しましたが、その結果から、いずれの企業でも従業員感動満足が非常に高いことがわかりました。

※注:VOEサーベイは、メンバーの仕事意欲を測るモティベーションサーベイと、ビジョンの浸透度を測るリーダーシップサーベイから成る従業員意識調査です。

 これは第一回のときも同様で、高い顧客感動満足は高い従業員感動満足が前提となっていることが改めて確認できました:表E・F。
VOEサーベイ
 また、業績評価においても2次審査通過企業の売上昨年比平均は103%以上で、中には110%を超える企業もありました。
サービスプロフィットチェーン 以上の観点から、ファイナルプレゼンテーションに参加した5社はいずれも従業員感動満足、顧客感動満足、業績の好循環サイクル(サービスプロフィットチェーン:図A)が実現されている企業と言えます。

ファイナルプレゼンテーション
 この5社の発表を振り返ると、理念・マインドの教育に力を入れていることがひとつの特徴ではなかったかと思います。株式会社はなまるの発表では「人間教育」の徹底ぶりはに目を見張るものがありました。社長が従業員に週2回送り続けた「ほうれんそうメール」や、年40回以上におよぶフィロソフィー(哲学)の教育。従業員の人間としての成長、人格を磨くことに重点が置かれた教育などは特筆すべきです。
 厳しい外食業界で勝ち抜くには「人間力」を高めることが大切ですが、それには小手先の仕組みやシステムではうまく機能せず、人間教育・人格教育にまで踏み込む必要があることの気付きを与えてくれました。
 株式会社萬野屋の肉のプロとしての商品力についての取り組みも、今後の外食業界のあり方に一石を投じる内容であったと思います。
 食品偽装問題が社会問題となっている中で、畜産農家までのネットワークを作り、安全で鮮度が高くおいしいお肉の提供を行うこと。そして、消費者への正しい情報提供を行う活動を通じて、食肉業界の変革を促していくものでした。「食」の安心・安全を外食業界から促し、さらには消費者への食育にもつながるものであり、外食業界が果たすべき今後のあり方を示唆する取り組みでありました。
 大賞を受賞された株式会社ワンダーテーブルは、従来の強みであった業態力に加えて現場力を高める仕組みとして自社開発された、HSJプログラムの内容を発表されました。パート・アルバイトを店舗運営に参画させ、顧客感動満足と従業員感動満足を高める手法を企業レベルで仕組み化されていました。今後、パート・アルバイトの労働力確保・戦力化が非常に重要となる外食産業において、その課題を解決する先進事例と言えるのではないかと思います。
 準賞を受賞された株式会社丘里の発表は、地域密着の飲食企業のあり方を提示する成功事例でした。従業員同士で「ありがとう」を共有するサンキューレターなどを初めとした従業員の縦横のコミュニケーションを活性化する仕組みや、女将制度を中心とした顧客感動満足の仕組みには学ぶべき点が多くありました。
 株式会社グローバルダイニングの発表では、ホスピタリティインダストリービジネス界でトップを目指し、外食業界をリードしてきた同社ゆえの様々な独自の取り組みがありました。リコグニション(顧客認知)・アンティシペーション(要望の先取り)をチームで高めていくための取り組みや、高い顧客感動満足のベースとなっている里親制度、アルバイトに対してまでも権限委譲を進めていく取り組みなどは、ベンチマークできる点が多かったことと思います。

第二回大会を終えて
 審査委員をさせて頂いていた立場として、これほど審査の難しかった発表会もそうないのではないかと思う程でした。発表内容はどの企業からも学ぶべき点が多く、定量化された審査基準を設定していなければ、審査を行うことはできなかったと感じています。
 また、発表内容がベンチマークできることに加えて、今回の発表をお聞きになられた多くの外食企業の方々、または外食産業をサポートする企業の多くの方々にとって、外食産業のすばらしさ、そこに属することへの誇り、仕事の喜びなどを思い出させて頂いたことが、最も価値があったのではないかと感じます。従業員感動満足なくして顧客感動満足なし。その実現のためには、外食業界で働く喜び、誇り、そういった素晴らしさを従業員一人ひとりが感じ、日々の仕事の中でその充実感を感じられることが必要で、それが外食産業を活性化していくための最も近い道ではないかという、気付きと勇気を与えて頂きました。
 これら5社の発表事例は、この賞の設立意義の元、外食クオリティサービス大賞のWEBサイトで公表させて頂き、また、発表内容のDVD化を行い、多くの外食企業関係者に共有を図っていければと考えております。
 また、来年度の第3回外食クオリティサービス大賞に向けては、第一回・2回を振り返り、審査基準のブラッシュアップを図る予定をしております。
 今後も当賞が外食産業の発展に貢献できる取り組みとなるよう尽力して参る所存です。
 最後となりますが、この場を借りて、ご発表頂いた5社の皆様、多大なご理解とご支援を頂いた協賛各社、審査員としてこの賞の設立から携わり、様々な示唆やご協力を頂いている清水氏・小山氏・千葉氏にも改めて御礼を申し上げたいと思います。
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