プロセス別サービスプロフィットチェーン実践事例
■文化・理念・ビジョン浸透

ほとんどの企業で経営理念を、経営上もっとも大切なものと定義されており、クレドカードのような形で、P/Aも含め全員が携帯している企業も多かった。優秀賞のアレフ・ぺぺサーレチームでは自社の「使命」に掲げられている「人間の福祉を増大する事業の創設」に沿って、身障者のお客様へのホスピタリティ活動を展開するなど、店舗においても会社の理念に沿った活動が実践され、それが理念浸透へと良い効果を生んでいる。また、同じく優秀賞の楽食ではスタッフの採用段階で会社の理念や店舗理念を熱心に伝え、採用段階から理念教育を行うなど、理念浸透に熱心に取り組んでいた。
3年後の経営ビジョンを鮮明にし、共有・行動レベルまでの経営計画を策定、その活動に現場社員も巻き込んだ活動を行っている企業も多かった。キープウィルダイニングでは、会社の目標に加えて、社員個々人のライフプランも詳細に作成して全員で共有を図っている。また、アレフでは、店舗ごとのライン組織に加えて、テーマ別の店舗横断プロジェクトチーム(キッチンチームやホールチームなど)を設置して、年度ごとに設定される経営課題の解決に向けて柔軟に対応できる組織運営をされていた。
■戦略レベル:マーケティングセグメント・サービスコンセプト・サービスデリバリーシステム(オペレーション)

この項目ではマーケット分析による業態のポジショニングや、そのポジションで優位性を確保するためのノウハウや仕組み・システム化の取り組みを行い、高い業態力を保持し続ける努力をどの程度行っているかを評価している。
1次審査対象の12社のほとんどの業態は、いずれも業態の強みが明確になっており、その強みが顧客から高い支持を受けていた。傾向としては規模が大きい企業ほど、業態力改善や仕組み化の優良な取り組みがされていた。大賞のマリノでは、巨大チーズの中でチーズを絡め、テーブルで調理をするカルボナーラを看板メニューとして開発。顧客からの評価は非常に高く、店の独自の強みが強化されるが、逆に、オペレーションの煩雑化による人件費高騰、原価率の向上により収益性の悪化を招いた。しかし、自店の強み・コンセプトを整理し、その強みを最大化するために、すべてのオペレーションを見直し、大幅な人件費率・原価率の改善に成功。科学的なアプローチを使った業態力改善が功を奏した。
また顧客感動満足を高めるオペレーションシステムにも工夫を凝らしている企業も多い。ワイズクルーでは懐石料理のオペレーションをP/Aでも行えるように料理の提供時間を標準化し、伝票に記載する工夫や、顧客管理システムを整備して、予約電話をもらった際に、前回利用日・前回のオーダー内容・各顧客の嗜好などが閲覧でき、顧客への細やかなおもてなしに活用されている。
■現場の主体性を高める工夫・プロセスマネジメント・仕組みづくり

企業規模の比較的大きいマリノ・くふ楽・アレフは階層別の教育システムに加えて、店舗の活性化・顧客感動満足や従業員感動満足の向上を目的として、P/Aを巻き込む研修体系や活動サポートが仕組み化されている。月に1回、店舗のP/Aが集まり勉強会や成果発表会などを行い、モティベーション向上や顧客感動満足向上の優良事例のベンチマークの仕組みが整備されていた。小規模の企業も朝礼・終礼の徹底に加え、店舗ミーティングや個人面談などはP/Aも巻き込んで行われており、店舗内でのスタッフ間コミュニケーションの活性化する活動が行われていた。優秀賞のスマイルリンクルでは30項目にも及ぶ自己分析チェックシートを毎日活用し、P/Aの人材育成を効果的に行ったり、定着率向上を狙いとした、勤務時間の累計時間により時給が向上する制度を導入していた。
これらの企業で特徴的だったことは人材育成にかける情熱が極めて高いことである。企業の業績向上のための教育という位置づけ以上に、P/Aにいたるまでの人生の成長に会社が徹底的にサポートするという姿勢が現れている企業が多かった。優秀賞のくふ楽では、年に4回は全店休業してイベント(運動や懇親を目的としたものや、店舗活動の成果発表会など)を行っており、機会損出を含めた年間の投資額は2,000万円に及ぶ。また、自社に教育事業部があり、学習塾の事業も行っているくらい、教育には拘りを強くもった活動を行っている。