
創業以来、驚異的な顧客満足度によって広告なしで売上を上げ続け、従業員の会社に対するロイヤルティの高さから離職も少ないOHANA。居酒屋甲子園でも優勝し、絶好調に見えたが、その裏ではトヨタショックの影響で過去最悪の業績に。CSもESも高いのに、なぜ業績が上がらないのか。この問いに正面からぶつかり、1年間で業績を回復させた外食企業の経営力の底力をご発表いただきました。
本社所在地:愛知県半田市青山1-3-5 青山石川ビル4F
サイトURL:http://r.gnavi.co.jp/n537500/
設立:2005年9月7日/資本金:300万円/店舗数:直営8店舗

経営理念:「元気と感動と幸せの販売・元気と感動と幸せの獲得」私たちは、お客様・スタッフ・業者様も含め、関わる方々全ての幸せのために自分たちが存在していると考えます。
展開する全ブランド:創作和洋ダイニング OHANA、粋な板前の京風串揚と活魚料理 おはな~はなれ~、夢酒場 魚昇本店、Pastorante OHANA、夢酒場 伏見 魚昇本店
代表ブランド紹介『Pastorante OHANA』:店長の実家の養鶏場で朝一に採れた卵を使用してつくった自家製生パスタと新鮮プリン、季節のフルーツをふんだんに盛り込んだパフェなど、素材のストーリーと品質にこだわり抜いたレストラン。「実家の養鶏場の卵を多くの人に食べてもらいたい」という店長の夢を実現させるためにオープンしました。

ハワイ語で“家族”“愛する”という意味があるOHANA。株式会社OHANAが運営する店舗は、社名の通り、温かみのあるサービスが大きな魅力となっている。2005年の創業以降、売上・利益とも右肩上がりの伸長を続け、MSの顧客ロイヤルティでも8.9点(2009年度)と高得点をマーク。常連客を中心とした集まり「OHANA会」があることからも、顧客の厚い支持が伺える。

現在、愛知県内に6業態8店舗を構える同社が誇るのは、スタッフの団結力だ。同社のサービス教育は、(1)理念・ベクトル教育、(2)価値観教育、(3)技術教育、の3ステップに大別される。ここでポイントになるのは、(1)の理念教育こそ、すべてのベースになるという考え方だ。
その教育手法も独自性が高い。理念教育の面で最も特徴的なのは採用面接だ。全アルバイトの採用を社長もしくは経営幹部が行い、経営理念と応募者の人間性について深く理解し合う。また、同社の方針をメッセージ化したオリジナルの「OHANAスピリットかるた」を用いて日常的に理念内容の反復を行っている。また、価値観教育の一環として、思わず涙が溢れてしまうような全員参加の会議を実施したり、技術教育の一環としては全店舗で毎日、接客のロールプレイングを実施している。

こうして順調に事業を拡大してきたOHANAだが、2008年のリーマンショックに端を発するトヨタショックが愛知県を襲い、大打撃を受けた。月間売上がほぼ半減した店舗もあり、20%以上を維持していた営業利益も09年には4%に落ち込んでしまった。
だが、MSのスコアは変わらず高い。CSと業績を両立させることの難しさを感じていた当時、第四回外食クオリティサービス大賞の2次審査を経験。課題として浮かび上がったのは、マネジメント機能と市場に対する戦略性の強化であった。そこで取った策は、さらなる価値を顧客に提供するために、全スタッフのホスピタリティのレベルを見直すこと。加えて、経営感覚を備えた人材を育成することだった。

まずSWOT分析から9つの経営課題を抽出し、中期経営計画書の抜本的な見直しを実施。それらを解決する仕組みとして、店舗横断型の部門会と、店舗ごとの管理者責任制度を敷いた。そして年間から月間、日次と行うべき事項をブレイクダウンし、個人のサクセスプランシートにまで落とし込んで改善を徹底した。
それによって、「元気と感動と幸せの提供と獲得」という経営理念の理解だけでなく、それに基づいた行動計画を一人ひとりが強く意識し、皆で一丸となってCS向上に取り組んでいる。具体的に掲げた行動目標を日々振り返ることで、その成果が見えやすく、個人の成長も早くなる。
さらに、新人には教育担当者を付け、店長の指導の下で担当者が教育計画の作成から細かな指導まで行ったり、アルバイトスタッフからリーダーを任命するなど、団結力を高める工夫を重ねてきた。特に、100名中9名しかいないリーダーについては平均雇用期間4年、月間勤務時間は約160時間以上で、スペシャリストとして極めて高いオペレーション能力と理念浸透度合いが認められたアルバイトスタッフだけが任命される。新店オープン時にも教育係を担うなど、OHANAにとって重要な役割を果たしている。

こうした活動により、現場が考えて動く自発的な風土が生まれ、元々の理念経営を維持したまま、事業運営の効率化・仕組み化を実現できた。その結果、2010年には営業利益26%と、V字回復を実現。松田真輔代表取締役は、「今後もOHANAの価値観を継承しながら、企業として組織化を促進し、顔の見えるチェーン経営に取り組みたい」と発表を締めくくった。
